おはようございます。
今日も有難うございます。
9月10日の木曜日
予想最高気温は、23度の横浜の朝です。
例年よりも、4度低い予報になっています。
小雨が続く木曜日になっています。
今日は整形外科の専門医らしいポストをします。
ブログは一方通行の媒体です。
からだの状態は、お一人ずつ異なり、年齢や生活環境によっても異なります。
この記事は参考程度に読んでいただき、思い当たることや不安がある方は、整形外科の専門医を受診して、直接、診察、検査、説明、提案を受けることをおすすめします。
宜しくお願いします。
― 腰痛診療ガイドラインから考える ―
腰が痛くなった。
そんなとき、
「動かないほうがいい?」
「安静にしていたほうがいい?」
「動いたら、もっと悪くならない?」
と思うことがありますね。
もちろん、腰痛にはいろいろな原因があります。
すべての腰痛に「動きましょう」と言えるわけではありません。
ただ、現在の腰痛診療では、多くの腰痛について、必要以上に安静にするのではなく、可能な範囲で日常の活動を続けることが大切と考えられています。
今日は、
「腰痛になったら、安静?それとも動いたほうがいい?」
について考えてみましょう。
「ずっと安静」でいいわけではありません
日本整形外科学会・日本腰痛学会による『腰痛診療ガイドライン2019(改訂第2版)』では、急性腰痛について、安静よりも活動性を維持することが有用とされています。
一方、坐骨神経痛を伴う腰痛では、安静と活動性維持との間に明らかな差は認められていません。
ですから、
「痛いから、まったく動かない」
でもなく、
「痛くても、無理をして動く」
でもありません。
まず、自分の腰痛の状態を知る。
そして、
できる程度で動いてみる。
これが大切です。
腰痛の原因は一つではありません
腰痛には、筋肉や骨、関節、椎間板、神経など、さまざまなものが関係します。
腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症では、脚の痛みやしびれ、筋力低下を伴うこともあります。
頻度は高くありませんが、骨折、感染、腫瘍など、見逃してはいけない病気が隠れている場合もあります。
また、仕事や生活環境、睡眠、運動習慣、心理的ストレス、痛みに対する不安などが、痛みの感じ方や長期化に関係することもあります。
つまり、
「画像に異常がある=それだけが腰痛の原因」
とは限らないのです。
整形外科では「腰」だけではなく「その人」を診ます
診察では、
いつから痛いのか?
どこが痛いのか?
何をすると痛むのか?
脚の痛みやしびれはないか?
力が入りにくくないか?
発熱やけがはないか?
などを確認します。
そして大切なのが、
「腰痛によって、何ができなくなっているのか?」
ということです。
歩けない。
仕事ができない。
眠れない。
家事やスポーツができない。
旅行に行けない。
腰の痛みだけではなく、その人の日常生活まで診ることが大切だと私は考えています。
腰が痛ければ、すぐMRI?
MRIは非常に有用な検査ですが、腰痛がある人全員に、すぐMRIが必要というわけではありません。
まず問診と診察を行い、レントゲンで評価できることもあります。
そして必要性に応じて、MRIなどの検査を追加します。
画像を診ることも大切ですし、患者さんを診ることは、もっと大切です。
検査は「撮れるから撮る」のではなく、
診断や治療方針を決めるために必要か?
を考えて行うことが大切です。
急な腰痛は寝ていたほうがいい?
かつては、
「腰痛=安静」
というイメージがありました。
現在では、単純な急性腰痛の場合、長期間寝たままでいるより、可能な範囲で普段の活動を続けることがすすめられています。
これは日本の腰痛診療ガイドラインだけでなく、英国NICEのガイドラインでも示されている考え方です。
もちろん、痛みを我慢して激しい運動をしたり、無理に重いものを持ったりするという意味ではありません。
立てそうなら立ってみる。
歩けそうなら少し歩いてみる。
長時間、同じ姿勢にならないようにする。
できることからでいいのです。
慢性腰痛では「運動療法」が重要です
腰痛が3か月以上続く場合は、一般に慢性腰痛と呼ばれます。
日本の腰痛診療ガイドラインでは、慢性腰痛に対する運動療法は強く推奨されています。
Cochraneレビューでも、慢性腰痛に対する運動療法による痛みの改善が示されています。
ただし、
「この運動をすれば、すべての腰痛が治る」
というものではありません。
歩く。
有酸素運動をする。
筋力トレーニングをする。
柔軟性を高める。
身体の使い方を練習する。
その人の状態、年齢、体力、運動経験、生活によって適した方法は変わります。
大切なのは、
自分に合った方法を見つけて、やってみる。
そして、できそうなら、
続けてみる。
ですね。
「腰」だけではなく「人」を診る
WHOは2023年、慢性一次性腰痛について初めてのガイドラインを公表しました。
そこでは、患者さんへの教育、セルフケア、運動、必要に応じた心理的アプローチや薬物療法などを、その人に合わせて組み合わせることが重視されています。
身体だけではなく、
仕事
生活
睡眠
気持ち
痛みに対する不安
その人を取り巻く環境まで考える。
腰だけではなく、「腰が痛い、その人」を診る。
これが現在の腰痛診療の大切な考え方です。
こんな腰痛には注意してください
一方で、「動いてみましょう」で済ませてはいけない腰痛もあります。
例えば、
- 脚に急に力が入らなくなった、麻痺が進んでいる
- 尿や便が出にくい、漏れるなどの変化がある
- 股の周囲の感覚がおかしい
- 発熱を伴う
- 大きなけがのあとから強く痛む
- がんなどの治療歴があり、新しく腰痛が出た
- 原因の分からない体重減少がある
- 強い痛みが続き、急速に悪化している
などの場合です。
また、
「いつもの腰痛とは何か違う」
という感覚も大切です。
心配な場合は自己判断だけで済ませず、整形外科の専門医に相談してください。
腰痛を治療する目的は?
私は、腰痛治療の目的は、
「痛みをゼロにすること」だけではない
と思っています。
歩ける。
仕事ができる。
家事ができる。
スポーツや旅行を楽しめる。
自分がやりたいと思うことができる。
そのための、
「動ける身体」
を取り戻すこと。
そして、その身体を使って、
自分らしい日常を楽しめること。
そこまでがお手伝いだと思っています。
まず、自分の状態を知る。
できることを考える。
そして、
できることから、やってみる。
少しできたら、
続けてみる。
昨日より少し歩けた。
少し楽に動けた。
そんな「できた」を増やしてみる。
できることが増えると、少し元気になります。
元気になると、笑顔も増えます。
無理をする必要はありません。
今日できることから、
やってみる?
そして、
続けてみる?
みんなが元気で笑顔なのがいいですね。
参考文献・参考資料
- 日本整形外科学会・日本腰痛学会 監修.『腰痛診療ガイドライン2019 改訂第2版』南江堂,2019.Mindsガイドラインライブラリ掲載。
- World Health Organization. WHO guideline for non-surgical management of chronic primary low back pain in adults in primary and community care settings. WHO, 2023.
- National Institute for Health and Care Excellence(NICE). Low back pain and sciatica in over 16s: assessment and management(NG59). 2016, updated 2020.
- Hayden JA, Ellis J, Ogilvie R, Malmivaara A, van Tulder MW. Exercise therapy for chronic low back pain. Cochrane Database Syst Rev. 2021;9:CD009790.
※この記事は腰痛についての一般的な医療情報です。実際の診断や治療は、症状、年齢、神経所見、基礎疾患などによって異なります。気になる症状がある場合には、医療機関にご相談ください。
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