「64後編」を観て

64後編を映画館で観てきました。

しばらく映画館での映画はご無沙汰だったのです
が、やはり映画は映画館で観るものです。

公開している映画館を探して観た価値があります。

お客様はほとんど入っていない映画館でしたが、臨場感はばっちりありました。

さて、お話と感想ですが…

子を持つ親だと理解が深まり、共感も強まるのだと思います。

役者さんの演技が後編は見ものです。

佐藤さん、永瀬さん、緒方さん、三浦さん、奥田さん、綾野さん、吉岡さん、瑛太さん、皆さん、素晴らしい演技です。

この中でも、やはり、佐藤浩一さん、永瀬正敏さん、緒形直人さんの演技が、この後編の見せ場です。

素晴らしいの一言です。

佐藤さん、いい役者です。

そして、この作品への、力の入れようはスクリーンを通しても伝わってきました。

憂いが伝わります。

心の迷いや変化が伝わります。

演技だとはわかっていますが、それを感じさせません。

人間の心が変化する瞬間を、全身を使った佇まいから感じさせてくれます。

変化する瞬間が伝わる演技。

感情という反応を感じさせてくれます。

本当は演技だとはわかりません。

永瀬さんもいい役者さんです。

前編を観ていますから、その全ての変化から、雨宮という人間をわからせてくれます。

雨宮というよりは、親を持つ父の気持ちや人間というやつを見せてくれます。

それは、佐藤さんが演じる三上もそうですし、緒方さん演じる目崎もそうですね。

この作品の、この後編のメインテーマは親を持つ父の気持ちです。

三上、雨宮、目崎と立場と状況も異なる三人の思いと感情と佇まいから、父親というものを表現しています。

特に目崎という人間には注目です。

緒方さんの演技力の素晴らしさもありますが父親という人間を余すことなく表現しきっています。そして人間ってやつも表現しています。父親という部分は人間の一部分なのだと気がつかせてくれます。

前編には出てこなかった目崎という人間の出現で、この映画は前編とは違う作品としても捉えらるできになっています。

この後編では、雨宮の変化と感情にも移入ができます。

前編では感じられなかった一面を、余すことなく永瀬さんの表現力で感じさせてくれます。

失ったものを心の中に残し続けること。

どうしようもなく、引きづり続けた男を演じ切っています。

抑えた中に、すさまじい思いが秘められた演技で感じさせてくれます。

12キロ減量して臨んだ後編の撮影というエピソードからも感じるものがありますね。

思いは理解できますが、じゃあ現実だったら、どうだろうか?と冷静になると、作者である横山さんと監督の瀬々さんの願望と思いを込めた雨宮というキャラクターなのでしょう。父親だったら…との思いを感じました。

目崎というキャラクターは、父親としてだけではなく、人間というものを表現しています。実は、人間には多面性があり反応する生き物なんです。狂気だったり、怒りだったり…緒方さんは鬼畜を意識したと語っています。野蛮ではなく鬼畜という言葉はなるほどと思います。

人間は、自分が自分でわからなくなることもあります。人間であって人間ではなくなることがあるんです。人を殺すこと、戦争もそうです。自分が人間ではなくなる一瞬があるわけです。人間のまま、社会性を認識して、保ったままでは、人を殺すことなんてできないわけです。

なぜ殺せたのか?

本当のことを言えば、殺した本人もわからないのかもしれません。

わかったら、世の中に殺人事件も戦争もなくなるはずです。

三上に問われた目崎が、分からないと答えたところに、この作品の凄みがあります。

分からないと平然と答えた目崎に人間の一面を感じるわけです。

人殺しの気持ちなんて、誰もわかるはずがないんです。

緒方さんだってわかるはずがない。

だから演技だとしても、演技には感じられない「分からない」というセリフに集約されました。

緒方さんの演技力と明らかな表情の変化には感心させられました。

三上というキャラクターにも多面性があります。

刑事という一面。広報官としての一面。組織人としての一面。父親としての一面。

場面場面で、心が変わるわけですが、佐藤さんが微妙な変化と表情と佇まいで、演じ分けるわけです。

気づきにくいぐらい微妙な変化で表現しているところが、心にくさも感じさせられます。警察官という組織人としてのリアリティーさも感じるわけですね。また、若手の役者さんから「浩市さん」と呼ばれる佐藤さんのかっこよさなのかもしれません。

最後は、組織人から一個人へとシフトしていく変化を感じることが、三上という人間と家族を感じ、思うことにつながります。

仕事とは?家族とは?父とは?

そのあるべき姿を考えさせるキャラクターなのが三上というキャラクターであり、役者「佐藤浩市」のミッションだと感じました。

今の私には十分に感情移入させられて、映画って素敵なツールだな…と思いました。

また、大人の社会人としては、社会って、組織ってやつを考えさせられました。警察という巨大組織。組織を統合して動かすってことを、いろいろと考えさせられます。上下関係、仕組み、法律。そして、そこに思いがあるのか?感情に、どう折り合いをつけるのか?

組織人としての変化を見せてくれるのが三上です。人間が生きていく上での多面性の一部分の極致が組織の一員であるということ。つまり社会というものの一員であるということです。

個人の極致が、雨宮であり、目崎なのですが、その対極に三上や、三浦さん演じる松岡、奥田さん演じる荒木田がいます。

警察対犯罪者という構図も、考えを広げさせてくれます。

そう、三浦友和さんと奥田瑛二さんも、さすが一流の俳優さんを感じさせてくれます。

三浦友和さん、やっぱり、格好いいですね。ちょっとした動作に格好よさが滲み出ていました。トイレの中ですら格好がいい…いい男です。

奥田瑛二さんも、全てを悟った初老の男を、うまく演じていましたね。

他の俳優さんたちも、かなり素晴らしいのですが割愛いたします。

この64という作品は、瀬々監督の確かな演出力もありますが、素晴らしい俳優さんたちの演技があって、素晴らしい作品に仕上がっています。

前編、後編を通して観たい作品ですが、後編だけでも、素晴らしい作品だと感じられるでしょう。

前編を観てしまった方は、もれなく後編を観たいと思わせる構成でしたね。

素敵な作品に感謝です。

「64」は素敵な映画、深い映画ですよ。

大人の夏の夜長にはいい作品かもしれません。

素晴らしい映画に感謝です。

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